ともすれば
岡本かの子
最後の数年間は
川端康成に小説の指導を受けていたらしい
人とのご縁は
何より大切だと分かる
父が食道癌の末期で
大手術して
病院のベッドに横になっていたとき
兄がいない陰で
私にあからさまな意地悪をする
姻戚の一家のお父さんが
なんだか 偉そうに
お見舞いに来て
政府にへつらって
公害裁判の証人に寝返って
国立大学の名誉教授とか
天下って
どこかのセンター所長とか
しょっちゅう学会だと
外国へ行き来してるけど
「脈もあるし 顔色もいい」
しか父に言えない程度の
形だけの医者が
しょげてる私の横で
わいわい楽しそうにしていて
「よそのお父さんが元気で悔しかった」
と言ったら
父は ベッドに横になったまま
低い声で
「ごめん」
と呟いたっけ
猫たちにまで
天国で
「ごめん」
と謝らせるのか
私は
桜花を
心待ちして
冬の朝
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