10.21.2025

おやすみ火曜日

 お風呂場のお掃除で突然思い出した


たしか菊名かその前の家で

漂白剤的な洗剤を撒いて

充分お水で流すのを忘れてしまったら

最初にお風呂に入った父がつるっと滑って

ゆかかどこかで打った腕の皮が広範囲に剥けて

父の片腕は血だらけになった


何こんなものと父は平気な顔をして

剥がれた腕の皮を引っ張って傷を覆った

私は泣きそうになった


急いでまだ開いている病院を探して

夜間窓口に行った


診察室のドクターは父の腕と

多分青ざめていたはずの付き添いの私を見て

「おおこれは出血大サービスだ」

と愉快そうに笑った


父も私も笑ってとても救われた

処置して頂いて安心して帰った


「出血大サービスだ」と

父が繰り返してまた笑った

帰りの道は心が暖かかった


たしか冬の夜だった



お母さんの命日でも

お母さんの思い出は一つもないな


ガキ大将だった兄がご近所の子たちを殴って歩いて

お母さんは後から謝って歩いたって


悲しい思い出で人は優しくなるのかな


あーでも中学に入って在校生全員グラウンドに出た時

あれがあいつの妹だ

と木の下に集った不良グループに指をさされ

じーっと睨まれて

お兄ちゃん一体何したんだろう

皆から離れないようにしなきゃ

と焦ったっけ



今日もありがとう

大切な思い出ある?

また明日


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